今月のネットワーク関連書籍
ラムダノートからまた個性的な本が出ていたので買ってみました。その名も「ピアリング戦記 インターネットを繋ぐ技術者たち」。
「インターネットはAS(Autonomous System)と呼ばれるネットワークを相互につなげたもの。ASの集まり。」的な説明はネットや書籍でもよくみかけますが、本書では、AS同士が実際のところどうやってつながっているかや、それに伴うお金の動きが解説されています。
1章では前提知識としてルーティングプロトコルやピアリング、トランジットについて説明されています。 AS間の接続に使われるBGPももちろん出てきますが、ルーティングプロトコルの解説本ではないため、かなり基本的な説明にとどまります。
2章、3章では実際にASがどのように接続されているのかが説明されています。
私はルーターのソフトウェア開発の経験があったので、BGPやIXについての知識はあり、1章は復習程度でしたが、AS同士が実際のところどのように接続されているのかは知りませんでした。
ルーターのファームウェアバージョンアップのために通信事業者のデータセンターというか局舎のようなところにいったこともありますが、正直、この手の場所は大量の装置とケーブルが並んでいるだけで何がどうつながっているのかわかるわけもないですしね。
本書ではデータセンター内でどのようにAS間が接続されるのかが説明されています。 データセンターの立地だけでなく、他に入居している事業者もそのデータセンターの価値であることは新鮮でした。
3章ではIXの説明になり、本章以降ではIX事業者などとのインタビュー記事のボリュームが増えてきます。 日本国内においてどのようにIX事業が広がってきたのか、どのような組織間の交渉事があったのかが紹介されています。 インターネットが一般にも普及し始めた1990年代の話などは貴重だと思います。
BGP自体はRIP,OSPFなどに比べて触れる機会が少ないと思うので、このような本が出てくるのはとても勉強になります。 本書はプロトコルについての細かい話はないので、BGP等のプロトコル技術に詳しくなくてもおもしろいはずです。 この本を読むと専用線の敷設や海底ケーブルに関する本も読みたくなってきます。
今朝はお客様のサーバーの負荷が妙に低いのでおかしいなと思ったら、海の日で休日だった。だから昼間からこんな記事を書いている。
投稿日:2022/07/18 11:03
タグ: 書籍