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お名前.comのSDプランからRSプランへの移行作業

お名前.comのSDプランからRSプランのサーバーへの切り替え対応を行いました。

お名前.comのレンタルサーバーであるSDプランを使っているお客様から、RSプランへの移行のご相談を受けました。

今回、移行の決断に至った経緯としては以下が理由とのことでした。

  • SDプランはPHPは7系までしか使えない
  • SDプラン自体は廃止されており新規申し込みできない
  • ページ表示においてパフォーマンス上も問題が出ており、お名前.comに相談したところRSプランへの移行を提案された
PHPも7系はEOLになってしまいましたし、このままでは将来的にはWordPressのアップデートも出来なくりそうです。サーバーを移行する時期としては頃合いなのではないでしょうか。

今回の作業内容は以下のとおりです。

  • サーバー内の6ドメインの移行
  • 各ドメインにはWordPressが設置されている
  • 不要なファイルを整理。phpMyAdminとか未使用のWordPress等。
  • 約40程度のメールアカウントを移行
  • ネームサーバーの切り替えやDNSレコードの設定

移行自体は他のサーバー切り替え作業と変わりません。 メールの移行については、業務に影響がでないように休日の夜間に行いました。

作業した上で感じたSDプランからRSプラン移行にあたっての留意事項は以下のとおりです。自分で作業する場合は参考にしていただければと思います。

SDプランからRSプランに移行する際の留意事項

(1) DBのバックアップが面倒

SDプランにはコントロールパネルにphpMyAdminなどのDBの管理機能がありません(*1)。sshで接続してダンプしようにもmysql/mysqldumpコマンドも入っていないので、phpMyAdminを自分で設置してダンプする必要があります。

(2) TLS証明書の設置はDNSだけ先に切り替えておく必要がある。

TLS証明書には無料のものが使用できますが、証明書を設定するには、ネームサーバーをRSプラン指定のもの(ns-rs1.gmoserver.jp, ns-rs2.gmoserver.jp)に切り替えておく必要があります。

SDプランを使っていた場合、ネームサーバーはSDプランのもの(dns01.gmoserver.jp,dns02.gmoserver.jp)や外部のものを使っていると思います。 事前にTLS証明書を設定するには、まずRSプランのネームサーバーに切り替える必要があります。 ただし、RSプランのネームサーバーにいきなり切り替えると、AレコードなどがRSプランのものになってしまい、現在のSDプランのサーバーにアクセスできなくなってしまいます。 そこで、RSプランのネームサーバーに、現行ネームサーバーと同じレコードを設定しておき、 RSプランのネームサーバーに切り替えてから、TLS証明書を取得する必要があります。 ちょっと面倒ですね。

[補足]
https://www.onamae-server.com/guide/rs/p/11 をみると「AレコードにてRSプランのサーバーを指定いただいている必要がございます」とありますが、サポートに確認したところ

(1)該当ドメインの各Aレコードで、RSプランを参照するよう設定されている

(2)該当ドメインのネームサーバー情報に、RSプラン指定の値(ns-rs1.gmoserver.jp, ns-rs2.gmoserver.jp)が設定されている

のいずれかの条件を満たしていれば大丈夫とのことでした。

本当に「AレコードにてRSプランのサーバーを指定いただいている必要がございます」だとしたらTLS証明書を設定するためには、SDプランのサーバーへのアクセス断が発生してしまいます。

(3) WebサーバーはApacheだがフロントにNginxが存在する

RSプランではフロントにNginxが存在して、ApacheにReverse Proxyする構成になっています。このため、.htaccessの調整が必要になったり、そのままでは動作しないスクリプトがあるかもしれません。

例として、Nginx → Apacheの通信はHTTPになるため、RSプランで動作するPHPスクリプトでは、httpsでアクセスしても$_SERVER['HTTPS']がfalseになります。これが原因で、リダイレクトがループしたりすることがあります。

WordPressではwp-config.phpなどで $_SERVER['HTTPS'] = 'on'; を追加してhttpsであることを明示することで問題を回避できます。

(4) PHPのバージョン選択がサーバー単位になる

共用サーバーではドメインごとにPHPのバージョンを選択できることが多く、SDプランでもそうでしたが、RSプランではサーバー単位になります。そのため、複数のドメインを持っている場合は、PHPのバージョンを統一する必要があります。

WordPressしか使っていないような場合は常に最新版に更新するようにしておけば問題ないでしょうが、独自システムを設置しているような場合は注意が必要です。

(5) メールアカウントはパスワードに英数字記号を入れないといけない

移行時のお客様側の作業はできるだけ少なくしたいところですが、パスワードに記号も入れる必要があるため、パスワードの変更が必要になるアカウントが出る可能性があります。

なお、SDプランからRSプランに移行に関しては「WordPressかんたん引越し機能」というものも提供されているのですが、今回は使っていません。この手の機能は、条件が合わずうまくいかないことが多かったり、挙動の詳細が不明で移行中に現行サーバーへのアクセスに問題が出るのが怖かったためです。

公式の移行手順は https://www.onamae.com/server/rs/sdrs-transfer/ にあります。こちらも参照しておくとよいでしょう。

RSプランの優れている点

RSプランの方が優れている点もまとめておきます。 移行作業において気づいた点のみなので、実際にはもっとあると思います。

(1) パフォーマンスがいい

ちゃんと計測したわけではないですが、サイトの表示は速くなりました。 SDプランではDBサーバーが少し重い感じでしたが、体感できる程度にはハードウェアのスペックが上がっているようです。

(2) 迷惑メールフィルタが標準でついてくる

SDプランではオプションだった迷惑メールフィルタが標準でついてきます。サーバーのコントロールパネルから設定できます。

(3) DKIMもサポートされている

RSプランのメールサーバーならDKIMもサポートされています。 よくGmail宛のメールが届かないとお問い合わせをいただき、SPFレコードやDKIMの設定を行うことがありますが、共用サーバーだとDKIMを使えないこともあります。RSプランでは標準でサポートされているので、送信メールがスパム判定されにくくなることが期待できます。

(4) mysqlコマンドも使えるのでメンテナンスが楽

RSコマンドではssh接続後にmysqlコマンドが使えるので、DBのメンテナンスがやりやすいです。コントロールパネルにはphpMyAdminもあります。

まとめ

作業事例の紹介とSDプランからRSプランへの移行で気をつけた方がいい点をまとめました。 ご自分で作業される方は、ご参考になれば幸いです。

(*1) DBの作成、削除やアカウント情報の変更のみできる機能がありますが、テーブル等、DBの中身にはアクセスできません。

投稿日:2023/08/12 11:52

タグ: Server 作業実績

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